【2023年5月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい
2023.04.05
エッセイ
うれしさを感じる
さわやかな風が吹き、色とりどりの花が咲き乱れる5月。カトリック教会では、このすばらしい5月を、マリアさまの月としてお祝いします。イエスさまのお母さんであり、わたしたちみんなのお母さんであるマリアさまに、ありがとうの気持ちを伝える月。それが5月なのです。
マリアさまはいったい、どんな方だったのでしょう。この絵本を読むと、マリアさまが、毎日の生活のなにげないできごとにうれしさを感じているのがわかります。子どもがみんなと楽しく遊んでいる、野原でかわいらしい花を見つけてきた、すやすやよく眠っている。そんなことの一つひとつに喜びを感じ、おだやかな笑顔で子どもを見守るやさしいお母さん。それがマリアさまだったのです。
わたしたちは、どんなときうれしいでしょう。子どもがいい成績をとった、ちょっと高価な買い物をした、ごちそうを食べた、そんな何か特別なことがあればうれしいけれど、普段の生活はつまらない。つい、そうなってしまいがちではないでしょうか。
イエスさまは、大人になったとき、「貧しい人々は、幸いである、神の国はあなたがたのものである」(ルカによる福音書 6章20節)とお弟子さんたちに教えました。何もない貧しい生活の中にも、天国があるというのです。幸せになるために、特別なものは必要がない。日々のなにげないできごとをうれしいと思える心さえあれば、どんな生活でも天国のうれしさで満たすことができる。イエスさまは、マリアさまと過ごした子どもの頃の体験から、そのことをよく知っていたのだと思います。この絵本を読んだ子どもたちとわたしたちの中に、なにげない毎日にうれしさを感じる心が育ってゆきますように。
◇2023年5月号「マリアさまのうれしいとき」 佐久間彪・文 矢野滋子・絵◇
▼ 片柳弘史 プロフィール
カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。
◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。
◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログ、twitter、facebookを通しても情報発信している。
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絵本づくりの仕事場より
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