【2023年10月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい
2023.09.05
エッセイ
心に吹く風
聖書の中でもっともよく知られているお話の一つ、「こころのやさしいサマリア人」のお話。人助けを終えて旅を続けるサマリア人のあとに、「気持ちのよい風」が吹いている場面がとても素敵だと思いました。
この風は、きっとサマリア人の心の中に吹いていた風でもあるのでしょう。困っている人がいるのに知らんぷりして通り過ぎると、心の中には、「自分さえよければいいんだ」という冷たい風や、どこかうしろめたさの残る気持ちの悪い風が吹きます。「困っている人を放っておけない」という気持ちに正直に従い、助けの手を差し伸べると、心の中には、「あの人に喜んでもらえてよかったな」といううれしい風、「誰かの役に立ててよかったな」という気持ちのよい風が吹くのです。
困っている人のために喜んで自分を差し出すサマリア人の姿は、助けられた人や宿屋の主人の心にも、気持ちのよい風を残していったに違いありません。「困っている人を放っておけない」という気持ちに正直に生きるサマリア人の生き方そのものが、この世界に吹き込む、一陣のさわやかな風だといってもよいでしょう。
いま、わたしたちの心にはどんな風が吹いているでしょう。どんなときに気持ちのよい風が吹き、どんなときにあまり気持ちのよくない風が吹くのでしょう。自分の心に吹く風に敏感でありたいと思います。わたしたちも、このやさしいサマリア人のように、いつも心に気持ちのよい風を感じながら生きる人、周りの人たちの心に気持ちのよい風を残せる人になれたらいいですね。
この風は、きっとサマリア人の心の中に吹いていた風でもあるのでしょう。困っている人がいるのに知らんぷりして通り過ぎると、心の中には、「自分さえよければいいんだ」という冷たい風や、どこかうしろめたさの残る気持ちの悪い風が吹きます。「困っている人を放っておけない」という気持ちに正直に従い、助けの手を差し伸べると、心の中には、「あの人に喜んでもらえてよかったな」といううれしい風、「誰かの役に立ててよかったな」という気持ちのよい風が吹くのです。
困っている人のために喜んで自分を差し出すサマリア人の姿は、助けられた人や宿屋の主人の心にも、気持ちのよい風を残していったに違いありません。「困っている人を放っておけない」という気持ちに正直に生きるサマリア人の生き方そのものが、この世界に吹き込む、一陣のさわやかな風だといってもよいでしょう。
いま、わたしたちの心にはどんな風が吹いているでしょう。どんなときに気持ちのよい風が吹き、どんなときにあまり気持ちのよくない風が吹くのでしょう。自分の心に吹く風に敏感でありたいと思います。わたしたちも、このやさしいサマリア人のように、いつも心に気持ちのよい風を感じながら生きる人、周りの人たちの心に気持ちのよい風を残せる人になれたらいいですね。
◇2023年10月号「こころの やさしい サマリアじん」 井口文秀・絵 佐久間彪・文◇
▼ 片柳弘史 プロフィール
カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。
◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。
◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログ、X(twitter)、facebookを通しても情報発信している。
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