【2023年11月号】絵本づくりの仕事場より/かみちとせ

2023.10.05   仕事場

 

 この子の名前は、とらきち。
 とらきちは、我が家にちゃんと存在している猫でもあります。このお話は、そのとらきちをモデルにして書きました。
 ある日、とらきちが窓ごしから鳥を見ている時の事でした。とらきちが、鳥に向かって「ケッケッケッ」と鳴き始めたのです。その時のとらきちの口は、まるで鳥のくちばしのように突き出していて舌を何度も振るわせ、鳥のように声を響かせていました。
 その声は、何の作為もなく、ただひたすら素直に「いっしょにあそぼ」と言っているように聞こえました。
 とらきちは、自分が猫であり、相手が鳥であっても姿形に関係なく同じ時を生きているものに必死で呼びかけている、その姿がとても愛らしく、ふわっと私の心に響きました。
 
 

とらきちを描いた時に使った紙と絵の具

「紙はストラスモアの画用紙です。力づよく描いても、ちゃんとついてきてくれるので、そんなところが気にいっています。絵の具はリキテックスのアクリル絵の具を使いました。感覚的に動かす手に、ちゃんとついてきてくれます。」(作者談)


 

 

▼ かみ ちとせ プロフィール

兵庫県生まれ。神戸市役所勤務を経て絵本の制作を始める。
絵本作家の登龍門といわれる「ニッサン童話と絵本のグランプリ」で入賞。
「小学館おひさま絵本大賞」で入賞、「Be絵本大賞」で入賞。
絵本作品に「ぼくにんげんに、なれるかな」(フジテレビKIDS)、「キキリン」(小学館「おひさま」おでかけえほん)。
 

 


 

 

 

▼こどものせかい2023年11月号
 『とらきち』をみる

 

 

 

▼ この絵本をもっとあじわう
  片柳弘史神父とよむ こどものせかい


 

▼ 編集者による制作エピソードなど
  Editor's Room

 

 

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