【2024年10月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい

2024.09.05   エッセイ

 

 


喜びのしずく

 

 真っ青な空が広がる秋の朝、家の近くを散歩していると、庭の芝生や木々の葉が、きらきら美しく輝いているのに驚くことがあります。昼夜の寒暖差が大きい秋の日に、特によく見られる朝露です。芝生や木々の葉についた朝露は、太陽の光を浴びて七色に輝きます。すがすがしい朝の空気を胸に吸い込みながらその様子を見ていると、「この世界はなんてすばらしいんだろう」と思わずにいられません。

 収穫間近の里芋の葉の上では、朝露が楽しそうにころころ転がっています。この世界にやってきたのがうれしく仕方がないようです。ころころうれしそうに転がって、ぷるんと飛び出す朝露が、わたしの中で、この絵本に出てくる「ころころぷるん」とぴったり重なりました。
 
 ところで、秋といえばお月さまがきれいな季節でもあります。夜のあいだとても美しく輝いていたお月さまから、「ころころぷるん」たちがやってきた。そんな想像も生まれてきます。お月さまを見上げて過ごした楽しいひと時の思い出が、光り輝く朝の露、「ころころぷるん」になった。そんなふうに思えるのです。
 
 絵本の中に登場する「つきのまつり」の場面はとても心に残ります。まぶしいけれどやさしい、不思議な光を放つお月さまに招かれたのは、猫と女の子だけではありませんでした。遠い星からのお客さんたちまで集まってきて、みんなで楽しく踊るのです。あらゆる違いの壁を越え、すべての命がお月さまを囲んで交わるひと時、それが「つきのまつり」なのでしょう。そのはじけるような楽しさから、「ころころぷるん」が生まれてくるのです。
 
 澄んだ光に満たされた秋は、この世界の美しさを感じるのにちょうどいい季節。夜はお月さまを楽しみ、朝には早起きしてご近所の散歩を楽しむ。子どもたちといっしょに、そんな一日を過ごしてもいいかもしれません。みなさんの心にも、きっと、かわいらしい「ころころぷるん」がやってくることでしょう。
 
 
 


 

 

◇2024年10月号「ころころぷるん」 栗村江利・絵と文◇

 

 

 

 

 

◎ 講演会情報 ◎ 

2024年10月26日(土)
14:00-14:45 講和
15:00-16:00 ミサ
カトリック麹町教会 聖イグナチオ教会主聖堂にて

マザー・テレサの帰天から27年。「小さなことに、大きな愛を」と呼びかけるマザーのメッセージに、もう一度、耳を傾けてみましょう。
入場無料・申込不要。どなたでもお気軽にご参加いただけます。

◎カトリック麹町 聖イグナチオ教会 

 

 

 

 

▼ 片柳弘史 プロフィール

カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。

◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。

◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログX(旧Twitter)facebookを通しても情報発信している。

 

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