【2025年1月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい

2024.12.01   エッセイ

 

 


喜びに変わる

 

 「どんな悲しみも、神さまの手の中で喜びに変わる」 ーわたしの友人のシスターは、口癖のようにそういいます。彼女だけでなく、キリスト教には、昔からそんな考え方があるのです。昔、イエス・キリストが十字架で処刑されたとき、お母さんのマリアさまをはじめ、たくさんの人たちが涙を流して悲しみました。ですが、その悲しみは、イエスの復活という不思議な出来事を通して、大きな喜びに変わったのです。その体験から、キリスト教では、「いまはどんなに悲しくても、この悲しみには必ず意味がある。この悲しみも、きっといつか、神さまの手の中で喜びに変わる日がくる」と信じるようになりました。そう信じることで、悲しみを乗り越えていくのがキリスト教だといってもよいでしょう。
 
 「どんな悲しみも、神さまの手の中で喜びに変わる」ということを、一粒の涙の冒険を通してわたしたちに分かりやすく教えてくれるのがこの絵本です。まいちゃんの目から流れ落ちた一粒の涙は、湖に落ちて溶け、ある日、湖面から空に向かって旅立ちます。雲になった涙は、やがて美しい雪の結晶に姿を変え、地上に舞い降りて子どもたちを大喜びさせるのです。実際に、そういうこともあるでしょう。すべての水が、さまざまに形を変えながら世界を循環していくように、人間の悲しみや喜びも、さまざまに形を変えながらこの世界を巡っていきます。どんな悲しみも、悲しみのままでは終わらない。いつかきっと、喜びに姿を変えてわたしたちのもとに戻ってくる。そのことが、この絵本を通して子どもたちの心に伝わりますように。
 
 
 


 

 

◇ 2025年1月号「な・み・だ」◇
くすはら順子・絵と文

 

 

 

 

 

 

 

▼ 片柳弘史 プロフィール

カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。

◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。

◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログX(旧Twitter)facebookを通しても情報発信している。

 

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